動画戦略とは、動画を用いたマーケティング戦略のことを指します。前回の記事でもご紹介した都知事選でも、特に若年層の支持を集める手法として大きな話題を呼んだのが、この動画戦略です。動画戦略は今や幅広い企業でも採り入れられている、身近なマーケティング手法のひとつ。まずは、基礎的な導入の知識を身につけておきましょう。
今回は、動画戦略を自社で活用する方法と導入の手順、成功のPOINTなどを解説します。
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動画戦略が注目されている理由
まずは、動画戦略に多くの企業が注目している理由や背景について、わかりやすく整理しておきます。
スマートデバイスの普及とコンテンツの拡大
動画戦略が注目されている背景には、スマートフォンやタブレットなどのスマートデバイスが広く普及したことが影響しています。ユーザーは、スマートデバイスの普及によって自宅はもちろん、電車などの移動中でも動画を視聴できるようになり、自分のタイミングで気軽に情報を取り入れられるようになりました。同時に、Youtube・TikTok・Instagram・FacebookなどのSNS人気が若年層を中心に高まり、動画コンテンツが大幅に増えたことで、視聴数も年々増えている状況です。
動画マーケティングの市場規模
引用:サイバーエージェント2023年国内動画広告の市場調査を実施
サイバーエージェントが発表した市場調査によると、動画広告の需要は年々高まりをみせており、2027年には1兆円規模に達する見込みです。2022年時点では約5,600億円の市場であることを考えると、5年で約2倍の拡大が予想されています。今後数年を見越しても動画広告の需要は高まる見込みで、企業としてもぜひ活用したいマーケティング戦略のひとつだといえるでしょう。
ちなみに上記表の「インストリーム広告」は、Youtubeなどの動画内で自動再生される動画広告。「インフィード広告」はSNS内での動画広告、「インバナー広告」はYahoo!内などでみられる、ディスプレイ広告枠で配信される動画広告を指します。調査結果からもわかる通り、現在は「インストリーム広告」「インフィード広告」など、スマートデバイスと相性の良い広告の需要が高まりつつある状況です。この結果からも動画×スマートデバイスの親和性の高さが伺えるでしょう。
幅広い用途で魅力を伝えることができる
動画戦略が注目されるもうひとつの理由は、事業に必要なさまざまな用途で活用できることにあります。たとえば、自社商品のマーケティングや自社イベントの告知、企業ブランディングの構築、採用活動など、幅広い用途で活かすことが可能です。動画の作り方や訴求の仕方次第では、多くのターゲットにメッセージを届けることもできるでしょう。
また、リソースがあれば自社で気軽に行えることも、動画戦略の魅力です。自社SNSなどを活用して上手く発信することができれば、目標とする成果を得ることも期待できます。一定の知識や経験はもちろん必要ですが、長期的な視点で広告を内製化できることも大きなメリットです。本記事で動画戦略導入や成功のPOINTをしっかりと押さえて、できる部分から早めに着手することをおすすめします。
動画戦略でできること
実際に動画戦略を活用することで、事業にはどのような効果がもたらされるのでしょうか。ここでは、代表的な動画戦略の活用例を解説します。
マーケティング
自社の製品や商品、サービスなどの情報を発信し、マーケティングに役立てることができます。視聴数や視聴者層、活用するSNSによってはコメントなどからユーザーの声を分析し、新たな開発やサービス改良の参考にすることが可能です。具体的な商品やサービスの特徴・魅力を伝える動画などを活用すれば、ターゲットの購買意欲を刺激し、販売や来店促進につなげることもできるでしょう。
ブランディング
製品や商品、サービスはもちろん、自社組織などのブランディングを動画を介して行うことも可能です。CMを想像するとわかりやすいですが、高級車の場合はゆったりとした音楽に上品な色使いの映像にまとめられているもの。お菓子やおもちゃなどの場合は、馴染みやすく明るい音楽にPOPな色使いの映像がほとんどです。動画の企画・構成を工夫することで、訴求したいターゲットに向けてメッセージを伝えています。CMと同様、「どのように魅せるか」を形にできるのが、動画戦略ならではの強みです。
採用
ブランディングやマーケティングの要素を上手く組み合わせることで、採用活動にも役立てることができます。採用難である現代では、動画やSNSを活用した人材募集を行う企業も年々増えつつある状況です。求職者に自社の魅力を発信することで応募を増やし、詳しく組織風土を紹介することでミスマッチを減らすこともできます。動画ユーザーのボリュームゾーンである10代〜40代は、まさに幅広い企業が求める競争率の高い年代です。採用を優位に進められ費用を抑えられることから、動画の活用は今後さらに進むことが予想されています。
動画戦略を導入する手順
ではここからは、実際に動画戦略を自社で活用する際の手順を解説します。
①目的と目標(KPI)を設定する
まずは動画戦略を活用する目的をはっきりさせておき、最後までぶらさないことが重要です。たとえば新入社員の採用を目的とする場合は、いつまでに・どの職種を・何人まで採用したいのか、詳細を事前に確認しておきます。これらの目的がはっきりした後で、目的を達成するための目標(KPI)を設定すると計画策定がスムーズです。採用の目標(KPI)は、クリック数・視聴数・応募問い合わせ数など、課題を抽出しやすいよう、いくつかの段階に分けておくことをおすすめします。
②ターゲットを明確にする
次に目的を達成するために情報を伝えたい、動画戦略で狙うターゲットを明確にします。採用活動の場合を例にとると、「どんな人材が欲しいか」という採用ターゲットが、そのまま動画戦略のターゲットとなります。ターゲットがあまりに広いとメッセージが届きにくくなるため、住所や年齢・趣味や性格・価値観など、メインの人物像を細かくイメージし、想定した人物に向けて動画を制作することが非常に大切です。
③配信方法を決める
自社SNSやYoutubeで配信するのか、外注して動画広告で配信するのかなど、情報の発信方法を決めます。先程設定したターゲットの価値観にあう媒体(SNS)を活用することが、動画戦略をより効果的にするポイントです。発信後の運用体制や費用なども確認のうえ、目的に沿った配信方法を選定します。
④動画の企画・構成
目的やターゲットを踏まえて、動画を企画・構成し、実際に撮影していきます。初めて動画配信する場合は、同じ目的で動画戦略を行っている他社動画をリサーチしておくことも良策です。また、配信するSNSなどのトレンド動画などを参考に、自社らしい動画をアレンジして作成するのもおすすめの方法です。どのようにすればターゲットに届く動画になるのか、企画段階から丁寧に計画しておきましょう。
⑤効果測定と改善
動画を配信したら、定期的に効果測定を行うことを忘れてはいけません。1週間や10日ごとなどに期間を区切って、クリック数や動画視聴数など、事前に設定した目標(KPI)を達成しているかを振り返ります。課題の切り分けと改善をスピーディーに実施することで、効果がでるスピードを早くすることが可能です。動画戦略はすぐには効果がでにくいため、定期的な振り返り・改善が非常に大切になります。
動画戦略を成功に導くPOINT
最後に、動画戦略成功のためのPOINTを解説します。
PDCAサイクルを回す
動画戦略は効果につながるまで一定の期間が必要となるため、結果が出るまでPDCAサイクルを回し続ける必要があります。PDCAサイクルとは、Plan(計画)⇒Do(実行)⇒Check(測定・評価)⇒Action(対策・改善)の仮説・検証・改善を実施するサイクルのことです。PDCAを常に回し続けることで、ターゲットに伝えたいメッセージが届きやすくなります。効果的な動画を作成・発信することで、結果を得るまでの期間を短縮することもできるでしょう。
リソースの確認を事前にしておく
動画戦略の導入前に、「動画の知識がある社員が居るか」や「運用を誰に任せるか」など、社内リソースの確認をしておく必要があります。動画の知識が無くても発信はできますが、効果を得るまでにはかなりの時間が必要になるため、戦略の全体像を把握するためにもリソースの確認は重要です。途中で計画が頓挫してしまわないよう、企画~運用までに対応できる人材の確保を進めておきましょう。
専門機関への相談もおすすめ
社内リソースの確保が難しい場合や、できるだけ早く成果を得たい場合は、動画戦略の経験が豊富な外部企業への相談も良策です。協力できる内容は費用や依頼先によって異なりますが、企画・制作はもちろん、運用や動画改善のアドバイスなど、自社には無い専門的な知見を得ることができます。初めての動画戦略や上手く行かない場合は特に、外部を頼ってみることをおすすめします。
動画戦略の不安があれば、まずはご相談を。
今回は、動画戦略を自社で活用する方法と導入の手順、成功のPOINTなどを解説しました。話題の動画戦略も、やり方を知れば意外と簡単に行えるものです。しかし、効果をだすためには一定の期間が必要。社内に動画戦略の知見や経験が無ければ、当社などマーケティングサポートが可能なチームへ、気軽に相談してみるのも良策です。
私たちnora株式会社は総合デザインコンサルティング会社として、SNSやWEBを活用した動画戦略を始めとする、幅広いマーケティングのサポートをご提供しています。企業ブランディングや広告戦略などの豊富な知見や経験をもとに、目的に応じた動画戦略・手法を複合的にご提案できることも当社の特徴です。「外注の費用や効果がちょっと気になるなあ」とお考えの担当者様は、まずは一度、お気軽に当社へお問い合わせください。