中小企業でもできる!採用マーケティングのプロセスと、おすすめ活用例をご紹介

中小企業でもできる!採用マーケティングのプロセスと、おすすめ活用例をご紹介

SNSや動画サイトなどを活用した採用マーケティングが、近年注目を浴び始めています。採用マーケティングとは、マーケティング手法を用いて採用活動を有利に進める戦略のひとつ。三井住友銀行やメルカリ、ニトリなどの大手企業でも同様の手法を活用し、採用力の強化を図っています。大手だけでなく中小企業でも活用できる採用マーケティングの方法を、ぜひこの機会に理解しておきましょう。

本記事では中小企業でも活用できる、採用マーケティングのプロセスと効果的な手法をご紹介します。

採用マーケティングとは?

採用マーケティングとは、企業で実施する採用活動にマーケティングの考え方を取り入れ、採用を有利に進めるための手法です。採用マーケティングのゴールとなるのは、「採用ターゲットが自社に入社し活躍する」こと。そのゴールから逆算し、採用までのプロセスをマーケティング視点で設計し、検証と修正を通してゴールの達成を目指すのが一連の流れです。

商品やサービスの販売においては、お客様がターゲットになりますが、採用マーケティングにおいては求職者がターゲット。求職者のなかから自社の採用ターゲットを設定し、興味喚起を促すコンテンツの発信を通して、応募のアクションにつなげます。マーケティング視点でのコンテンツ発信は求職者とのエンゲージメント強化にも有効。応募はもちろん、定着率向上を目指せることもことも活用のメリットです。

採用マーケティングが必要な理由

採用マーケティングを多くの企業が取り入れ始めている背景には、実はいくつかの明確な理由があります。ここからは、採用マーケティングが必要になっている理由について解説します。

人手不足による採用難

数十年前から進んでいた人手不足が、近年さらに加速しつつあることが理由のひとつです。現在の日本の総人口は、1億2,435万人(※令和5年10月1日時点)。そのうちの29.1%に当たる3,623万人が65歳以上となり、超高齢化社会を迎えている状況です。

一方で、日本の労働を支える生産年齢人口(15〜64歳)は、1995年以降、年々減少している傾向にあります。この流れは今後もさらに進むことが予想されており、採用は一層困難になる見込みです。この採用難への対策の一手として、採用力強化につながる採用マーケティングが注目され始めています。

引用:総務省|高齢化の推移と将来推計

情報収集の手段が変化

近年ではスマホ利用者が増えたことで、求職者が求人情報を集める手段も以前とは大きく変わりつつあります。以前は大手求人サイトなどを活用し情報を得ることがほとんどでしたが、現在ではSNSや動画コンテンツで情報収集し、その後にアクションするケースが一般的です。ショート動画などで興味を持った企業があれば、その後にHPなどで情報収集を実施。他社との比較を行ったうえで志望企業を決め、その後に応募のアクションを取る求職者も増えつつあるようです。

そのため、企業は求人広告だけでなく、幅広い媒体を活用した情報発信が必要になってきています。SNS・YOUTUBE・HPなどを複合的に活用し、多角的な情報発信によって求職者を取り込む企業は年々増加中。大手企業はもちろん中小企業でも、SNS活用の波が広がりつつある状況です。

採用手法の変化

求職者の情報収集の変化によって、企業の採用手法に変化がみられることも採用マーケティングが注目されている理由です。求人広告や求人サイト、HPのみでは応募を集めづらくなっている状況から、他の採用手法を検討する必要がでてきました。そのため、SNSやYOUTUBEはもちろん、Indeedなどの求人検索サービスを含めた複合的なアプローチが必須。自社や採用ターゲットにあわせ、企業として適切な手法を選択する必要があるでしょう。

まずは、ターゲットである求職者の価値観やライフスタイルを理解し、そのターゲットに刺さるコンテンツと発信するプラットフォームを選定。一回で上手く行くことは少ないので、検証と修正を繰り返し、定期的に採用活動を見直すことで効果につなげます。採用マーケティングの考え方や手法は、自社採用手法の見直しにも非常に有効なのです。

採用マーケティングの基本プロセス

ではここからは、採用マーケティングの基本的な流れについて解説します。

①自社と採用ターゲットを理解する

採用マーケティングで一番最初に行うのは、自社と採用ターゲットを深く知ることです。自社の特徴とともに、採用したいターゲットの価値観を理解すれば、応募に結びつく効果的な発信がしやすくなります。まずは部署ごとに必要人材を洗い出し、パーソナリティーやスキルを含めた人物像までを明らかにしておくことが大切です。採用ターゲットが明確になればなるほど、コンテンツも創りやすく、自然と訴求力も高くなります。

また、自社の分析をする場合は、3C分析の手法を用いると簡単です。3C分析とはマーケティングで活用されることの多い分析手法で、「Customer(顧客)」「Competitor(競合)」「Company(自社)」の異なる視点から特徴を把握できます。自社の特徴や強みを理解し、オリジナルのコンテンツ作りに反映することを心がけましょう。

②採用フローの見直し

SNSやコンテンツの発信から、採用・活躍に至るまでのフローを見直すのも、立派な採用マーケティングのひとつです。採用ターゲットの価値観や行動を想定したうえで、あくまで求職者視点で採用フロー全体を見直します。採用に必要な業務の分担なども、この時に決めておくとスムーズでしょう。

コンテンツの発信から、採用・定着に至るまでのフローの時間軸ごとに、求職者の価値観や行動を想定し分析するのもおすすめです(カスタマージャーニー)。情報発信から入社・活躍までのストーリーを、求職者の感情をベースに追っていくと、採用フローの課題や修正点を見つけやすくなります。

③コンテンツの企画と実行

求職者の感情ベースのストーリーも参考にしながら、必要なコンテンツを企画します。コンテンツとは、SNSや動画、WEBで発信する情報だけでなく、入社説明会の内容や入社時オリエンテーション、歓迎会なども含むものを指します。SNSコンテンツでの興味喚起を通して説明会参加に誘導し、カジュアル面談で入社の動機を作ることも、効果的なコンテンツの一例です。

④検証と改善

採用マーケティングをするうえで忘れてはいけないのが、効果検証と改善です。実際に企画・実行下コンテンツの効果検証や、求人情報などを発信したコンテンツなどの分析を、定期的に実施する必要があります。効果検証のメリットは、採用・活躍までの課題が明確になり、改善によって効果を上げられる点。必ず実施したい、採用マーケティングのポイントです。

たとえば、採用に至っても活躍する人材が少ない場合は、採用ターゲットの見直しやサポート体制の強化など、すぐに対策を打つことが可能。丁寧な課題の解消が、採用力・組織力の強化につながります。データ分析や対策担当を事前に配置しておき、チームで現状と課題を共有しながら、効果的な採用体制の確立を目指しましょう。

中小企業でも活用できる!採用マーケティング例

では最後に、中小企業でも活用できる採用マーケティングの例を3つご紹介します。

ブランディング強化で「入社意欲」を喚起

自社イメージを明確にするブランディングの強化は、ぜひ取り入れたいマーケティング戦略のひとつです。ブランディングとは、大手メーカーなどが行っている、企業のキャッチコピーやカラー、イメージビジュアルをターゲットの価値観に刺さるものに統一し、興味喚起や消費を促す手法です。

たとえば「ポカリスエット」からは、ブルー・青空・汗などをイメージしますが、それはCMや広告によって、「汗が出た時の水分補給」として思い出せるようブランディングしているから。この手法を自社に応用すれば、地域や業界内での差別化を図ることができます。HPのカラーやコピーを工夫するだけでも、求職者に自社の存在を印象づけることができ、採用を有利に進めることができるでしょう。

参考:大塚製薬|ポカリスエット公式

「脱求人広告」を目指す

SNSなどの自社メディアの強化によって、求人広告を通さず採用活動を行う企業も少しずつ増えつつあります。とはいえ、「脱求人広告」を目指すには、一定のフォロワー数や閲覧数が必要。担当者を配置し戦略を練りながら、毎日コツコツと発信を継続することが必須です。採用ターゲットが興味を持ちそうな内容を、まずは試しに投稿してみてください。

同時に、YOUTUBE・X・TikTok・Instagramなど、自社との相性の良いメディアの選定も重要なタスクのひとつです。選定したメディアから自社HPへ流入を図るなど、応募に至る設計も考慮したうえで、ターゲットに届く媒体を選定します。他社事例などを参考に選定すると、間違いが少ないでしょう。

採用後の「定着率向上」を実現

「採用してもなかなか定着してくれない」という悩みも、中小企業によくある採用課題です。定着率を向上させるには、まずは大変な部分も含めて自社の仕事に興味を持って貰うことが大切。求職者にとっての働くメリットと両面を訴求し、まるっと好きになって貰えれば、定着はもちろん活躍も期待できます。

具体的には、SNSや自社採用ぺージ上での、動画などによる発信が効果的です。現場社員のつぶやきのような形でテキスト発信したり、仕事の様子をコンテンツにして動画発信するなど、さまざまな方法があります。仕事の短所や辛い面もポジティブにみえる発信心がければ、求職者の印象も自然と向上するはず。自社なりの方法で信頼度を高められる点も、採用マーケティングを活用する大きなメリットです。

まとめ

今回は中小企業でも活用できる、採用マーケティングのプロセスと効果的な手法をご紹介しました。SNSなどを活用した採用マーケティングを活用する最大のメリットは、ほとんど費用がかからないということ。認知して貰うまでは時間も労力も掛かりますが、発信力が育てば採用費用を大きく削減できる手法です。発信や運用を実際に始めてみて、自社に合った手法を少しずつ確立していきましょう。