伝統産業や製造業を始めとする採用が難しい業界では特に、人材確保が課題となり自社でのマーケティングはあきらめられがちです。しかし、自社マーケティングを始めることは、やり方次第では難しいことではありません。マーケティングは、美しい工芸品や商品・日本ならではの高い技術を、より多くの人に知って貰うための重要な手段のひとつ。まずは体制づくりのコツを理解していきましょう。
本記事では、自社マーケティングに必要な人材と人材不足を補う方法を、採用難業界の皆様に向けて解説します。
自社マーケティングとは?
まずは自社マーケティングの概要やメリットについて、確認しておきましょう。
費用を抑えて魅力を伝える手段
自社マーケティングとは、自社内で行うマーケティングのことを言います。自社マーケティングのメリットは、費用を抑えて広く国内外に発信できること。マーケティングの手段は数年前まで主流だった有料広告から、WEBやSNSを活用した手法へと移り変わり、以前に比べて費用を抑えた発信ができるようになりました。そのため、現在では多くの企業が自社マーケティング体制の構築に着手しています。自社製品のプロモーションや求職者に向けた採用情報の発信など、さまざまな用途で利用できることも自社マーケティングの大きなメリットです。
SNSを中心とした幅広い手段
自社マーケティングと一言で言っても、発信の手段は幅広くあります。たとえば、自社HPなどを活用したマーケティングや、Instagram・Facebook・X・TikTok・YouTubeなどSNSを活用した発信です。それぞれの手法によって情報を届けられるターゲットが異なるため、上手く手段を選定すれば、届けたい情報を届けたいターゲットに、リアルタイムに届けることができます。
国内だけでなく、海外にも発信できる
自社マーケティングは費用を抑えながら、国内だけでなく海外にも発信できるメリットがあります。
国内に根付く手工業の技術力は、海外でも認められていることは今や周知の事実です。工芸品や自社技術のプロモーション・組織の魅力などを発信できる自社マーケティングは、これからの世代に向けた文化継承の観点においても、事業に欠かせないものとなるでしょう。
自社マーケティングに必要な人材
では、自社でマーケティングを行うためには、具体的にどのような人材が必要なのでしょうか。ここからは、自社マーケティングに最低限必要な人材を、能力ごとに解説します。
企画・戦略立案
限られた資金と期間で目標を達成するためには、先々を見通した企画と戦略を立てられる人材が必要になります。中小企業などでは社長や代表が行うことも多いですが、将来的な運用を考えるのであれば、企画や戦略立案が得意な人材に任せてみるのも良策です。
企画・戦略の立案には、事業方針はもちろん、自社製品やサービス・狙うべきターゲットに対する理解を深め、適切な手段を選定することが求められます。自社マーケティングの進捗管理やデータ分析など、データを読みながら改善するスキルも必要になるでしょう。
マーケティングの知識がある人材
自社で活用するWEB・SNSマーケティングの手法や、マーケティング自体の仕組みを把握できる人材ももちろん必要です。企画・戦略立案の際に決めたターゲットに向けて、「どのようにして、どうやって情報を届けるか」を調査のうえ選定する役割となります。
マーケティング手法の選定には、ターゲットと自社製品との相性をみて、WEBやSNSなどのうち最も効果的なものを判断するスキルが必要です。そのため、ある程度のマーケティング経験は必須だといえるでしょう。コンテンツ制作などの経験がある人物なら、コンテンツ企画〜制作までを任せることも可能です。
運用・管理
WEBやSNSを実際に運用する人材や、発信したコンテンツがどの程度ターゲットに届いているかアクセスデータを管理する人材も必要です。マーケティング知識をもつ人材がすでに在籍していれば、運用やデータ管理自体はさほど難しい作業ではありません。一般事務などとの兼任もできるタスクですので、コンテンツが決まっているのであれば発信などを任せることも良策です。コンテンツの充実を図る場合は、別途コンテンツ制作担当を配置する方法もあるでしょう。
人材不足を補う方法
では、これらのマーケティング人材をどのようにして集めるのかについて、3つの手段にわけて解説します。基本的な手法ですが、採用難の業界でも参考にできる方法ばかりです。ぜひご参考ください。
採用の強化
一番オーソドックスなものとしては、自社の採用力を強化してマーケティング人材を集める方法があります。メリットとしては、自社の社員がマーケティングに携わることで、長期的にプロジェクトを継続しやすいこと。デメリットとしては、採用までに一定の期間が必要になることと、自社マーケティングの成果を得るには比較的時間が掛かることです。少し長い先の将来を見据えるのであれば、自社採用を目指す方法もあるでしょう。
現社員の育成
すでに在籍している社員のなかから、マーケティングに適性がある人材を育成する方法もあります。多くの場合は既存業務との兼任は避けられませんが、その分費用を抑えられるメリットがある方法です。一方でデメリットとしては、育成の時間とマーケティングの成果を得るまでに、時間を要する可能性があることです。マーケティング計画と従業員の業務負担を考慮のうえ、協力しながらプロジェクトを進める必要があるでしょう。
外部パートナーへ依頼
自社で人材が補えない場合は、外部からマーケティングスキルのある人に協力して貰うことが良策です。専門的な知識をできるだけ早く蓄積するのであれば、外部との協力が最良の方法だといえます。メリットとしては、手早く必要なスキルをもつ人材を補うことができ、マーケティングの成果も得やすいこと。デメリットとしては、依頼時の費用が必要なことと、依頼先を誤れば効果が得づらいことです。
外部依頼先の種類
外部パートナーへの依頼は、人材難業界でも活用できる最も簡単な人材確保の方法です。依頼先の選定が最大のポイントとなるため、最後にそれぞれの特徴を把握しておきましょう。
フリーランス
マーケティングに必要な人材をピンポイントで補う際は、個人事業者やフリーランス人材へ依頼する方法があります。企業への依頼に比べ安価ですが能力にばらつきがあるため、依頼する人物の選定が重要です。人物との出会いによって、効果は左右されるでしょう。
フリーランスに依頼するには、ランサーズなどのプラットフォームを利用すれば依頼ができます。依頼~支払いまでを自社で手続きできるため、必要に応じた期間と費用で依頼先を探すことも可能です。能力のあるフリーランスがみつかれば、継続したパートナーシップを結ぶこともできます。
派遣・人材紹介
費用をかけても早く採用したい場合は、派遣や人材紹介などを活用する方法もあります。派遣・人材紹介会社を介して、すでに登録しているマーケティング人材の紹介を受けられるので、一定の保障をもとに採用することが可能です。費用と見合う人材が見つかれば、成果につながりやすい面もあるでしょう。
一方で、能力がある人物ほど費用が高く、契約期間にも限りがあることが派遣・人材紹介のデメリットだといえます。長期間のパートナーシップを築くことが難しい場合もあるため、どちらかと言えばプロジェクトごとの採用などに比較的適した方法です。
マーケティング専門会社
マーケティングを専門に行う会社などへ、自社マーケティングの一部・あるいはすべてを任せる方法もあります。人材やリソースが不足している部分を、状況に応じて専門人材で補えるため、質の高い協力関係を築くことが可能です。
デメリットとしては、外注費用が必要になること。その分、成果を得やすいメリットもあります。また、業務負担の軽減とともに知見の担保ができることも、マーケティングを始める企業にとっての大きなメリットです。依頼先の選定を慎重に行えば、人材難企業でも成果を出しやすい体制が確立できるでしょう。
まとめ
今回は、伝統産業や製造業などの採用難業界でもできる、自社マーケティングに必要な人材確保の方法についてご紹介しました。京都を中心とした関西の手工業は、非常に上質で評判が高い一方で、ほとんどの企業様が人材確保に苦心されています。素晴らしい産業や工業、文化を将来につなげるためにも、マーケティングの上手な活用をおすすめします。
私たちnola株式会社では、マーケティングを専門とする企業として、幅広いご相談やサポートをご提供しています。自社マーケティングをご検討の場合などは、ぜひお気軽にお問い合わせください。